特集「重茂の早採りわかめ 春いちばん」

この1年の漁果を決める大事な「春いちばん」の漁

 重茂のブランドわかめ「春いちばん」は、成長段階の新芽のわかめを摘み取ったもの。わかめを立派に成長させるためには「間引き」という作業が必要であり、それは通常のわかめの収穫期である3〜4月よりも早く、1月〜2月の厳冬期に行われています。

 年明けにまっさきに行われる「春いちばん」の漁は、重茂の漁師にとってはこの1年の漁果を決めるといわれるほど大切なものです。毎年1月中旬には多くの漁協関係者が集まって出漁式が行われ、人々は今年1年の豊漁を、目の前の大海原に願います。

 重茂のわかめの漁場は外海にあります。海流がぶつかりあう重茂の海は常に波が高く、波が全くない凪ぎの日などは年に数日しかありません。1月の早朝、港を出た船は2〜3メートルの波を乗り越えて漁場へと向かいます。「前を走る船すら見えないほど波は高い。この海で船酔いを克服するには10年はかかるね」と重茂の漁師は話します。彼らはみな、小さな頃から父と一緒に船に乗り海へ出ていました。

 わかめの養殖は海面に張り渡したロープに種付けをしますが、ここ重茂では外洋で波がとても高いため、養殖ロープを深く沈める必要があります。また波の影響を考えてロープの強度を増したり種付けの間隔も広げなければなりません。波穏やかな内湾での養殖とは、難しさが根本的に違っているのです。

早春にしか味わえないそれは貴重な重茂の恵み

 収穫は、小型クレーンを使ってロープを一気に引き上げます。わかめはひとつの根から50〜60本程も葉を伸ばしていますから、ロープにはびっしりと縄目も見えないほどわかめが付いています。これを10〜15本に次々と間引いていくうちに、船の中はわかめでいっぱいに。最盛期には、一隻の船で2トンものわかめを収穫することも珍しくはありません。波が荒く、しかも極寒の海上での作業はベテラン漁師でもきついものですが、船の上から溢れんばかりのわかめに、収穫の喜びもひとしおです。

 「春いちばん」は原藻(生わかめ)のまま出荷されるので栄養価も高いまま。春先にしか味わうことのできない貴重な重茂の海の味、どうぞご賞味ください。


  塩蔵(塩ヌキわかめ) 原藻(生わかめ)
水分 93.3g 89.0g 原藻(生わかめ)はこれまでは生産者の間でしか食されていませんでした。しかし地元がこの新芽のわかめに着目し、研究調査した結果、素晴らしいことがわかりました。生命を産み、育む海のミネラル成分がこの小さい体にぎっしり含まれているのです。カルシウムやマグネシウムなどのミネラルは体や脳の発育や健康には欠かせない栄養素です。

たんぱく質 1.7g 1.9g
炭水化物 3.1g 5.6g
ナトリウム 540mg 610mg
カリウム 42mg 100mg
カルシウム 42mg 100mg
ビタミンC 0 15mg
マグネシウム 19mg 110mg
カロチン 250μg 940μg
葉酸 11μg 29μg
ビタミンK 100μg 140μg

重茂産のわかめやこんぶを初めて食べた人は、その肉厚な食べ応えに驚きます。理由はここ重茂半島が太平洋に突出した複雑な地形をしており、周囲の海は親潮と黒潮がぶつかる荒磯地域であること。美味しいわかめは波おだやかな海ではなく、激しい潮流や海水の移動が多い荒波や外海などで育成するのです。こんぶも太平洋の荒波にもまれながら栄養塩と太陽光線をたっぷり浴びて育つため、重茂産は巾が広くて柔らかく、味の良いのが特徴です。

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