特集「復興へのみちのり」

大津波によってすべてが根こそぎ奪われたあの日


共同利用や再建方針について説明された組合員全員協議会
津波で壊滅した第一冷蔵庫
使用不能となった立浜あわび中間育成場

 右上の写真は、平成23(2011)年3月11日、東日本大震災による大津波が音部漁港に達する瞬間を高台から撮影したものです。漁港の手前で砕けた巨大な波頭は、ハッとするほど鮮やかな青い色をしています。海に突き出した重茂半島に、外洋からの波が色も威力も変えることなくそのまま押し寄せてきたのです。

 水産業の被害は甚大でした。所属する漁船814隻のうち798隻が流出し、10カ所の漁港施設、そして海上の1310台もの養殖施設も全壊。あわび種苗センターや加工場、ふ化場などおよそ50施設の被害額だけでも42億円に上りました。こんぶやわかめ、天然資源の流出も大きく、重茂の人々は大津波によって生活基盤すべてを根こそぎ奪われてしまったのです。

 しかし立ち上がりは早く、震災翌日の3月12日には対策本部が設置され、漁業の再開を第一目標に決定。4月9日には組合員全員協議会が開かれて、漁船や養殖施設の共同利用案や再建方針が説明されました。その間に流された漁船の回収や復旧作業を開始し、他県へ中古船の買い付けにも奔走。震災から一ヶ月後には70隻もの漁船を確保したのです。そして5月、その船で天然わかめ漁がスタート。無事だった個人のボイル加工施設で皆がともに作業を行い、浜は少しずつ再生へ向けて動き出しました。

震災直後 重茂漁協の取組み

平成23年3月11日発生・東日本大震災復興基本方針

重茂漁協存亡の今、この時、組合員一人一人の生活の維持と福祉、更に組織防衛のため、次のことを合言葉に一致団結しましょう。

仲間意識・相互扶助・互譲の精神・
互恵の精神・自らの努力

組合員の漁業経営のための施策について

  1. 漁船(船外機船)の共同利用施設。
  2. 養殖施設(桁ロープを含む)の共同利用施設。
  3. 漁業権漁業の共同経営。

漁協事業について

  1. 自営定置4ヶ統の建込み。
  2. 昆布採苗場の取得。
  3. ボイル施設の取得。(仮設)
釜石湾で定置網船を発見!支援の輪も復興を後押し


震災から2年の歳月をかけ南半球キリバス共和国に漂着した無傷のままの第七与奈丸。しかし重茂に戻すには莫大な資金がかかるため、キリバス共和国で使用されることとなった。

 早急に取り組むべき課題はもうひとつ、財政基盤を支える定置網漁の再開でした。震災の日、陸に上げていた20隻の定置船はすべて流出、沿岸各地に漂着していた10隻を発見。中でも、新造のアルミ船が無傷のまま釜石湾の岸壁に打ち上げられ発見された奇跡は、皆を勇気づけました。7月には定置網漁が再開、かつてない豊漁に港も多いに沸き立ちました。

 外部からもさまざまな支援の手がさしのべられました。生活クラブ生協による冷蔵施設に無傷で残っていた70トンのわかめの一括購入、漁船の購入資金の贈呈など物資の支援、炊き出しやイベントなども頻繁に行われました。

復興への途はいまだ半ば。絆を大事に前へ、未来へ


生活クラブのカンパ金で寄贈された第二与奈丸。このほかに第八与奈丸、第五根滝丸の合わせて3隻が寄贈され、操業を始めている。

 平成25年度現在、施設の復旧は約8割。一方で全体の水揚高は震災前のおよそ7割程度にとどまり、ウニやアワビの資源復活も最低4年はかかると見込まれています。また震災がきっかけとした高齢化などによる養殖業者の減少なども心配されています。

 しかし重茂には、昔から受け継がれてきた地域の絆があります。この繋がりをたいせつに、そして協同の精神をより強めながら「本当の漁業再生」に向けた取り組みが、重茂漁協を中心に進められています。

みなさまの応援に感謝

 いつもわかめやこんぶをはじめ、重茂の海産物をお引き立ていただき、誠にありがとうございます。

 平成23(2011)年3月11日に発生した東日本大震災は、私たちの重茂半島にも甚大な被害をもたらしました。漁船の9割以上が流出し、漁港施設もほとんどが全壊いたしました。人的被害も大きく、漁家400戸のうち約100戸が流出し、地域全体の死者、行方不明者も50名に上りました。

 「このままでいくと重茂の浜がなくなってしまう」—危機感を持った私たち重茂漁協の関係者は、何よりもまず漁船の調達に動きました。船があれば漁が出来る。漁が出来れば、若者もこの重茂から出ていかなくて済むからです。幸い、多くの方々からの協力を得ることができ、その年の天然わかめ漁を行うことができました。漁協経営を支える定置網漁も、各方面からのご支援を受け、いち早く再開することができました。

 復興にはまだまだ時間がかかりますが、これまでのご支援に感謝しつつ、さらに良質な重茂の海の恵みを、皆様の元へお届けできるよう努力して参ります。

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